薬物療法とは
痛みが強い場合に薬で炎症を鎮めたり、筋肉が痛みで固まっている際に筋弛緩剤を使用します。 また、痛みの軽減のために抗不安薬や抗うつ剤を使用したり、夜間の歯ぎしりなどを抑えるために入眠剤を使用する場合もあります。
治療に用いる薬剤
1)鎮痛消炎剤 非ステロイド系鎮痛消炎剤(ロキソニン,ボルタレン,インダシン)
2)筋弛緩剤 塩酸トルぺリゾン製剤(ムスカルム)
3)精神安定剤 ジアゼパム製剤(セルシン,ホリゾン)
鎮痛消炎剤
非ステロイド系を用いる。末梢性に作用する。
適応症:関節包内、靭帯、筋肉の炎症、疼痛
TMDで使用する場合には鎮痛作用に加え消炎作用も強いものを選択する。鎮痛作用のみが強いものは治療に適さない。また炎症をコントロ-ルするためには持続的に血中濃度を上げておかなければならないので定期的に内服する必要がある。文献的には十分な効果を得るには2週間の連続投与が必要とされている。
副作用:胃腸障害
連続投与の場合、なるべく胃腸障害の少ないプロドラッグを選択し、消化薬とともに処方するのが原則。また、催奇形作用が報告されているので、若い女性に投与する際には注意が必要。
禁 忌:消化性潰瘍
筋弛緩剤
適応症
咀嚼筋や頭頚部の筋にこりや痛みがでている場合に有効。急性の骨格筋痛を緩和し、休息と理学療法の補助として使用すると効果的である。急性筋、筋膜痛の短期治療に有効。
副作用:眠気
禁 忌:妊婦、授乳中の婦人
精神安定剤
適応症
睡眠時のブラキシズムに起因するTMD症状(特に起床時に症状が強いタイプ)に有効。これは睡眠の改善(熟眠)によりブラキシズムの減少、ストレスや筋弛緩作用が期待できるためです。
副作用:眠気、倦怠感など
ただし睡眠時のみの使用では、あまり問題にならない。
禁 忌:重傷筋無力症、急性狭隅角緑内障
抗うつ剤
適応症
慢性のTMDを有する患者管理に使用。副作用が強いため本当に必要と思われる場合に限り使用すること。
副作用:眠気、ふらつき、口渇、便秘、緑内障の増悪
禁 忌:緑内障、前立腺肥大、心伝導障害
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