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歯ぎしり(ブラキシズム)

歯ぎしりがうるさくて眠れない

ブラキシズム(Bruxism)とは食いしばり、歯ぎしりといわれるものです。噛む目的で歯を合わせるのではなく、非機能性の咬合習癖のことです。強く噛み締めたりすり合わせたりするもので、広義では「歯軋り」とよばれ、咬合神経症ということもあります。

ブラキシズムは就寝時に限らず、覚醒時でも無意識に咀嚼筋群などの顎関節周囲の筋肉が過緊張し、たいへん強い力で「歯軋り」します。異常緊張ともいえる強い力で咬合するため、歯および歯周組織への炎症性破壊、更に顎関節に異常な負荷がかかることにより関節円盤の転位を引き起こすことが顎に大きな影響をもたらすこともあります。
関節円盤という軟骨が頭蓋と下顎骨のあいだでクッションの役目を果たしています。そのクッションがあるべきところにない状態のとき顎は不規則な動きをします。

歯ぎしり(ブラキシズム)の種類

歯ぎしり(ブラキシズム)は大きく分けて3つの種類に分ける事が出来ます。

グラインディング

上下の歯をギリギリとこすりあわせる

タッピング

上下の歯をカチカチと連続的に噛み合わせる

クレンチング

音もなく歯を強く噛みしめる

「グラインディング」と「タッピング」は就寝中に音がするので、一緒に寝ている人に指摘され自覚することがありますが、「クレンチング」の場合は音がしないため、なかなか自覚できないという特徴があります。さらに、クレンチングは何かに集中しているときや我慢しているときなど、起きているときにも行っていることがしばしばあります。

歯ぎしり(ブラキシズム)とストレス

歯ぎしりとストレスは密接に関係していると考えられています。動物を拘束することでストレスをかけたところ、高い割合で胃潰瘍が出来たのに対し、同時に木の棒を噛ませることで胃潰瘍の発現を抑えられたことが分かっています。また、ストレスの伝達経路は、脳の視床下部を中枢といて伝達されるのですが、咀嚼することによって視床下部の神経細胞の興奮が抑えられ、ストレスの有害な作用を抑制する効果があることもわかっています。
人間の場合でも、噛むことが脳のストレス性変化に対し、予防的に作用することがfMRI(ファンクションエムアールアイ・機能的磁気共鳴画像診断装置)を使った調査で確かめられています。
このように、本来はストレス発散などの効果が歯ぎしりにはあると考えられます。しかし、一方では歯をすり減らしたり、治療した差し歯等を破壊したり、噛み合わせのバランスを崩す等、健康を損なってしまう原因の一つともいえます。

ストレスの有害な作用を抑制する効果その反面健康を損なってしまう原因の一つ

一言コラム:スポーツ選手とガム

メジャーリーグをはじめ様々なスポーツ選手が試合中にガムを噛んでいるところを見ますが、これは歯を噛み合わせることでストレスを発散し、精神状態をリラックスさせる効果があると考えられています。噛み合わせとストレスが関係している例の一つだと言えます。

良い歯ぎしりと悪い歯ぎしり

歯ぎしり(ブラキシズム)はストレス発散の効果もあるため、一概に悪い習慣とは言えません。では、良い歯ぎしりと悪い歯ぎしりは何が違うのでしょうか。
下のチェック表で、そもそもで歯ぎしりをしているのか、また、良い歯ぎしりか悪い歯ぎしりかを見極めます。


□朝起きたときに、あごが痛い、だるい
□差し歯等の詰め物がよく外れる
□歯がしみる
□歯が欠けた、割れた、すり減ってきた
□頬の内側や舌に歯の跡がついている
□歯の根元にくさび上のへこみがある
□上顎の真ん中、または下顎の内側に骨が出っ張っている
□強い食いしばりで目が覚めることがある


どれか一つにでもチェックがついた場合、悪い歯ぎしりをしている可能性があります。


朝起きたときに、あごが痛い、だるい

歯ぎしりをする女性

歯ぎしりによってとても強い力がかかり、顎に負担がかかっています。顎の周りの筋肉が持続的に緊張状態になっているため、朝起きたときにあごに痛みを感じたり、疲労感などの症状が現れます。


差し歯等の詰め物がよく外れる

銀歯

歯ぎしりによって歯に圧力がかかり続けることで、治療した歯の差し歯や詰め物をつけていた接着剤の接着力が弱くなってしまい、外れたりかけたりすることがあります。


歯がしみる

冷たい飲み物

歯ぎしりによって歯に過度な圧力がかかり続け、歯の表面にあるエナメル質がすり減ってしまいます。そのため、歯の神経が過敏になり、冷たいものがしみるなどの症状が現れます。


歯が欠けた、割れた、すり減ってきた

歯ぎしりによって歯に過度な圧力がかかり続け、歯にひびが入る、欠ける、割れたりします。また、歯をこすりあわせていますので、歯がすり減ってしまいます。


頬の内側や舌に歯の跡がついている

睡眠中に歯を食いしばるため、頬の内側や舌に歯の跡が残ることがあります。


歯の根元にくさび上のへこみがある

くさび状欠損

歯の根元に虫歯とは異なるくさび状のへこみが確認できます。「くさび状欠損」という症状で、歯ぎしりの特徴的な症状の一つです。


上顎の真ん中、または下顎の内側に骨が出っ張っている

歯ぎしりによって歯に過度な圧力がかかり続け、それを受けた口の中の骨が変形し、上顎や下顎の骨が出っ張ってきます。「骨隆起」という症状で、歯ぎしりの特徴的な症状の一つです。

骨隆起が歯ぐきにできた例

骨隆起が歯ぐきにできた例

歯ぎしりが強く、歯茎の部分の骨が隆起しています。

骨隆起が硬口蓋(口の中上側)にできた例

骨隆起が硬口蓋(口の中上側)にできた例

強い食いしばりで目が覚めることがある

目を覚ますほどなので、相当強い力で歯ぎしりをしている可能性があります。歯をすり減らしていたり、歯が欠ける、歯にひびが入る等の症状がみられることがしばしばあります。最悪の場合は、歯そのものが破折していて、抜歯をしなければならないこともあります。

用語説明


くさび状欠損

くさび状欠損

エナメル質とセメント質の境目である歯の付け根がえぐられたようになる症状です。これまでは、歯磨きの際の磨耗や虫歯を削る際の欠損、酸による溶解と考えられていました。最近の仮説として、歯ぎしりによる咬合圧が指摘されています。歯ぎしりの際に歯にかかる力は100キロを超えるといわれ、この力が歯の付け根部分に集中することでエナメル質やセメント質がはがれ、象牙質がくさび状に露出すると考えられています。


骨隆起

歯を強く食いしばることによって骨が異常に増殖して起こる症状です。骨隆起は多くの場合左右対称にできます。骨隆起自体はほうっておいても問題はありませんが、硬いものを食べる際に痛むなど問題がある場合は、除去手術を行います。

骨隆起が歯ぐきにできた例骨隆起が硬口蓋(口の中上側)にできた例

 

良い歯ぎしりと犬歯誘導

それでは、良い歯ぎしりとはどのような歯ぎしりかご説明いたします。
良い歯ぎしりとは、「奥歯を強く噛まない歯ぎしり」です。軽く噛んだ状態で下顎を左右に動かしたときに、上下の奥歯にわずかな隙間があればよい歯ぎしりが出来ていると言えます。
人間の歯は全ての歯が噛みあうようになっているのですが、下顎を左右にスライドさせたときには上下の糸切り歯(犬歯)だけが噛みあって、奥歯に隙間ができるようになっています。このことを「犬歯誘導」といいます。ものを咀嚼するときには、顎を上下左右に動かしています。奥歯は縦方向の力には強いのですが、横方向からも力が加わり続けると、歯そのものや周りの骨を破壊してしまいます。そのため、丈夫な犬歯だけ噛み合わせることで奥歯を守る事が出来るのです。同様に睡眠中の無意識な歯ぎしりも、この犬歯誘導ができていれば犬歯で力を受け止めてくれるため、歯や全身のダメージを抑える事が出来るのです。
犬歯誘導のみならず、それより後方の歯にも犬歯誘導と同じような、奥歯を守るような関係が出来ている良い噛み合わせを「シークエンシャル咬合」または「順次誘導咬合」といいます。よく誤解されがちなのですが、この「シークエンシャル咬合」と一般的な「きれいな歯並び」は別のもので、全く異なる観点で判断されるものです。

歯ぎしりが体に与える影響

通常、食事での噛む力は数キロ~30キロ程度とされています。意識的に強くくいしばると、50~100キロ程度なのですが、睡眠中はさらに強くなり、130キロにもなるといわれています。
噛み合わせが悪いと、頭痛、肩こり、腰痛、めまい、耳鳴り、目の奥が痛いなどの全身的な症状が出ることがあります。さらに深刻な問題として、歯周病を悪化させる、知覚過敏、顎の痛みなど、歯のみならず歯周組織や顎関節にダメージを与えることもあります。

顎関節に問題があった場合には、顎関節症の症状が出る可能性が高くなります。

歯ぎしりが体に与える影響

歯ぎしりの検査

睡眠中のブラキシズム(歯ぎしり)はほとんどの場合患者様ご自身に自覚がありません。歯ぎしりの特徴的な症状を発見する検査としてリビングデンタルケアでは、「ブラックスチェッカー」を行っております。

人体に無害な染料を使用し、そのはがれ方から歯ぎしりの有無やパターンを調べることができます。
こちらの検査を行っている歯科医院は、残念ながら日本ではまだ非常に少ないです。

ブラックスチェッカー

当院では「リビングデンタルドック」にて患者様の状態をより正確に診療します

患者様の症状によっては、歯列模型制作を行います

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